「ひと息しごと」は、アートマネジメントやアート活動に携わる方のための相談所です。
アートの仕事をする上で考え行動することと、生活する上で考え行動することが、切り離しにくいのがアートの特徴で、むしろ、この二つを行き来することは必要不可欠と言えるかもしれません。
私自身は、あることの視野を広げたり、視点を増やすようにして現実の世界をひろげて見せてくれ、そのようなやり方で人と人を近づけてくれるアートの活動が好きで、長年アートマネジメントに関わってきました。
ただし、それは生きがいややりがいばかりではなく、アートの仕事には労働者としての側面もあり、経済的な不安定さやキャリアパスの見えなさ、才能や条件を査定される厳しさ等と隣合わせです。
「ひと息しごと」では、そんな芸術文化に従事する人たちのアートマネジメントの実務やキャリアの悩みに伴走しつつ、“働く自分”に向き合うリトリートの時間を提供します。1対1でお話ししながら、これまでの活動を見つめなおし、中・長期的なキャリアを考えるための思考整理のお手伝いを得意とします。
※士業等の独占業務に関わるご相談や、第三者との紛争解決や仲介はお受けしていません。詳しくはプライバシーポリシーをお読みください。
行政が設置している文化芸術総合相談窓口もあります。そういった行政の相談窓口では、無料でさまざまな専門性の相談員が対応してくれたり、ウェブサイトで役立つ情報が発信されていますので、うまく使い分けてご活用ください。
2020年にはじまったコロナ禍以降、多くの自治体で文化芸術関係者向けの相談窓口が設置されました。各所でアートマネジメントやアートの専門性を持った複数の相談員が、アート活動にまつわる相談にのっています。ご縁あって、私も2020年から相談員としていろいろな方の悩みや相談をうかがう機会をいただきました。相談の内容はさまざまですが、どれもコロナ前からある悩みのように思いました。
相談員になったことをきっかけに、私自身も相談員メイトの人たちにたくさん相談しました。「相談」の良いところは、第三者と話すことで問題が客観的に見えてきて、対処する気になることです。また、話し相手がいると、検討ポイントが増えたり、「これしかない」と思っていたことも選択肢が広がったりします。
アートの仕事なら何でもやりがいだった20代、よくも悪くも自分の伸びしろが見えた30代、自分の活動をやっと客観的に捉えはじめた40代。「ひと息しごと」では、アートマネージャーとして、行政や大学、NPO、民間企業、アーティスト等とのさまざまなプロジェクトに向き合ってきた経験から、同業の方々をサポートし、リトリートする場をつくりたいと考えています。
さいごに、「ひと息しごと=VACACIONES de Trabajo(バカシオネス・デ・トラバホ)」という屋号は、メキシコシティを拠点とするアーティスト・コレクティブCráter Invertido(クラテル・インベルティード)のプロジェクト名からお借りしました。
クラテルは、私が2011年にそれまでの仕事を辞めて、人生のバケーションのつもりで1年滞在したメキシコシティで、最も長い時間をすごしたコミュニティです。暮らす場所は離れても、ふしぎに取り組みの方向が共通していて、その活動は私の羅針盤のようになってきました。
プロジェクト名を使うことを快く許してくれたクラテルと、「ひと息しごと」と翻訳してくれた鋤柄史子さんに、心より感謝申し上げます。
Gracias por Cráter Invertido, Fumiko Sukikara y Diana Maria Gonzales.
コンサルタント
内山幸子 うちやま・さちこ
「水平を目指して―五領とメキシコを行き来しながら考えたこと」
(山田創平編著『未来のアートと倫理のために』、左右社、2021)
「アートマネジメントができること」
(奈良県立大学実践型人材育成プログラム「CHISOU」コラム、奈良県立大学、2021)
「未来を楽しくするアートマネジメントの私的実践」
(『別の入り口から―展覧会づくり再考』、Load na Dito、2021)
「石を転がしつつ」
(『戸口に立って―彼女がアートを実践しながら書くこと』、Load na Dito、2023)